2013年10月20日日曜日

ジム・オルーク・バンド名の変遷メモ

新宿の飲み屋で日頃鍛えているであろう日本語のセンスが光るジム・オルーク率いるパーマネントなバンドの名称変遷

2010.09.19
京都音楽博覧会
ジム・オルーク(バンド編成)

2012.01.08
ジム・オルーク with 芸害(石橋英子、須藤俊明、山本達久、波多野敦子)
「contrarede presentsジム・オルーク / 石橋英子~band set show "芸害 vs もう死んだ人たち"~」

2012.02.04
De La FANTASIA 2012 at Studio Coast
Jim O'rourke and Band

2012.04.19-20
ジム・オルーク and 復活たち
『ジム・オルーク×石橋英子 "no tour no live"』
2012.07.16
ジム・オルークとタイムスリッパーズ
【CHARLES HAYWARD presents V 4 VICTORY】
2012.09.10
ジム・オルークとレッドゼツリン
『蓮沼執太フィル/ジム・オルークとレッドゼツリン LIQUIDROOM 8th ANNIVERSARY』
2013.06.09
JIM O'ROURKE with INFINITY P
2013.06.22
ジム・オルーク、石橋英子、須藤俊明、山本達久 / ゲスト:高田蓮
ジムO6days未来に向けて:その二
2013.10.25-27
石橋英子 with ぎりぎり達 feauturing 長左棒茄子(ジム・オルーク、山本達久、坂口光央、須藤俊明)
SWANNY 第5回公演「ゴミ、都市そして死」
2013.12.25
ジム・オルークとマエバリ・ヴァレンタイン(石橋英子、須藤俊明、山本達久、波多野敦子、千葉広樹)
ジムO クリスマスデイ
Jim O'Rourke Christmas Day
『お歳暮力』

2014.06.06
ジム・オルークと7秒ビジネス
EARTH Japan Tour 2014@新代田FEVER

2015.02.18
新宿ロフト presents 新宿で会いましょう
*ジム・オルークの新バンドとツーマン!
出演:戸川純、ジム・オルークとジェファーソン台車

2015.05.30
ジム・オルークとGaman Gilberto(山本達久)

2015.06.25-27
石橋英子 with ぎりぎり達 feauturing 長左棒茄子(ジム・オルーク、山本達久、坂口光央、須藤俊明)
SWANNY 第7回公演「ゴミ、都市そして死」

2015.07.26
ジム・オルークとGaman Gilberto(ガマン・ジルベルト)
フジロックフェスティバル'15

2016.09.03
WWW X Opening Series はちみつぱいとジム・オルーク>
ジム・オルークと命拾い




2013年10月9日水曜日

dick annegarn - Anticyclone

フランスで活躍するオランダ人SSW、ディック・アネガルンの1976年発表の五作目「Anticyclone」
プロデュ―スや演奏にフレンチ・アヴァンロックのゴッドファーザーそしてフランスのザッパとも呼ばれる鬼才Albert Marcoeurが関わっている。
基本的には弾き語りのシンプルな楽曲が多いなか、一部の楽曲で同時期のマルクールのアルバム「album a colorier」を彷彿とさせる複雑なチェンバーロックを聴くことができる。


まさにマルクール節な楽曲「La Bagarre」後半の管楽器の絡みが凄く格好良い。

アシッドフォークに突如ビーフハートの様な展開が挟み込まれる不思議な楽曲「L'homme de l'aube」

2013年10月7日月曜日

Chico Mello

ドイツ在住のブラジル人現代音楽家Chico Melo
ミニマルミュージックやドローンなどの要素とボサノヴァやMBPを掛け合わせる手法はブラジル版ジム・オルークといった感じか。
「Agua」のような完全な現代音楽の作品からボサノヴァを換骨奪胎したようなソロアルバム「DO LADO DA VOZ」などを発表しています。
近年ではチェリストのKapital Bandとともにtelebossaとして活動しています。
こちらも現代音楽的な要素をポップな形に消化している素晴らしい1stアルバムを発表しています。



アップされていたボサノヴァの名曲を人力でカットアップするライブ演奏に痺れる
https://www.youtube.com/watch?v=AaNV9ec9Afw


2013年9月23日月曜日

Luciano Cilio 「Dell'Universo Assente」 Jim O'rourke 「海炭市叙景」

70年代のイタリアの現代音楽家。
ジム・オルークがライナーを担当していることで知りましたが素晴らしい内容です。
ハープを思わせるアコースティックギターの繊細なフレーズと不穏なコーラス、冷たく緊張感に満ちた美しい楽曲です。

ジム・オルークの海炭市叙景のサウンドトラックにも大きく影響を与えているように思います。
「海炭市徐景」ではジム・オルークによる冷たくも美しい音楽の存在が海炭市の人々の厳しい人生模様を映しだした物語への救いとなっていたように思います。
初日の出のシーンで滲み出るように流れるジム・オルークの音楽があまりに美しいです。
寂れたプラネタリウムで流れるにはあまりに高級な電子音楽が使われていたのも気になった。

Luciano Cilio - Primo quadro della conoscenza


ジム・オルーク - 海炭市叙景




2013年7月8日月曜日

roberto cacciapaglia 「SEI NOTE IN LOGICA」

最近、LPが再発されたroberto cacciapagliaの79年作 「SEI NOTE IN LOGICA」
こないだのジム・オルーク6daysでもかけていて嬉しかったのを思い出す。
ジム・オルークはフランコ・バティアートをフェイバリットに挙げていたしその鍵盤奏者であるロベルト・カッチャバーリャももちろんお気に入りなんだろうなぁ。
ピアノのフレーズにアナログな電子音が絡みやがてバイオリンや声、マリンバがミニマルにフレーズを繰り返す。ストレンジかつ美しい楽曲。
ポストクラシカルなんて言葉が生まれる前からすでに同じ感覚でこのような作品が存在していた事に驚く。79年がミニマルミュージックを得意とする現代音楽の作家が続々と作品を発表しているという時代の雰囲気もあるのだろうなぁ。
寒々としたテニスコートのジャケットも最高。
この作品を聴くとジム・オルークの「I'm Happy and I'm Singing and a 1, 2,3, 4」を思い出したりも
また、この電子音の音色はEurekaの冒頭を彷彿とさせたりもする。

帯に括り付けてあったボーナスCDがアコースティックバージョンも収録していてこちらも素晴らしい内容です。


Roberto Cacciapaglia - Sei Note In Logica (Part 1)




2013年7月6日土曜日

there's hell in bern

there's hell in bern
98年リリースのコンピ「meme」収録
Jim O'rourkeの「There's Hell In Hello But More In Goodbye」のフレーズにLoren Connorsがあの泣きのベンドで絡んでくる素晴らしい共演。
ジム・オルークのソロの時の演奏スタイルは明らかにLoren Connorsの影がうっすらと見え隠れする。実際90年代ごろは長髪の風貌も似せようとしていたのではとすら思う。





2013年6月28日金曜日

ジムO 六デイズ@六本木スーパーデラックス (2013/6/17 ~22)Day 6

Day 6【未来に向けて その2】ジム・オルーク(ボーカル、ギター)、石橋英子(キーボード)、須藤俊明(ベース)、山本達久(ドラム)ゲスト:高田漣(ペダルティール)

01.インプロ~halfway to a threeway
02. Ghostship In a Storm
03.Therefore,I Am
04.Good Times(弾き語りに高田漣がペダルスティールで参加)
05.Answers To Your Questions
06.Stupid As The Sun
07. New Song→Last Year
08. Life Gose Off
09.Movie On The Way Down
10.Prelude to 110 or 220,Women Of The World
(アンコール)

11. The Workplace

ジム・オルークのみによるディレイを駆使したインプロからメンバーが続々と入ってきて一曲目を演奏。「halfway to a threeway」はライブではお馴染みのニール・ヤング風のアレンジ。
しかし、今回は高田漣もペダルスティールで参加しているためアンビエントな雰囲気がでていて素晴らしかった。ドラムが入ってからのスティールのソロも格好良かった。ジムの熱い泣きのチョーキング!アメリカンロック度が増していて痺れる。本人は完全にサービスでやっているのだろうけど弾きだすと止まらない感じが伝わってきてやっぱり良いんだよなぁ。

「Ghostship In a Storm」去年中止になったEureka再現ライブの流れもありますが「eureka」の楽曲を生で聴くことができる日がくるとは。あのイントロからジムが歌い始めただけでちょっと目頭熱くなった。後半、静かなパートからバンドが入ってくる瞬間は鳥肌が立った。ラストのピアノのリフレインから徐々に「Therefore,I Am」のギターリフがフェイドインしていき熱すぎる展開へ!
高田漣を残し、メンバーが引っ込む。「Good Times」の弾き語りに美しいペダルスティールが絡む。
演奏後、今年Loose Furの三枚目のNew Albumを録音したと語りたぶん来年には出るという驚きの情報も。Wilco来日時に東京で録音したのかな?これはかなり楽しみ。そして、自分のソロアルバムも今年中には出すという嬉しい情報も。まぁ半信半疑ですが笑

そのままLoose Furの「Answers To Your Questions」をソロでの弾き語りで披露。メンバーが戻って「Stupid As The Sun」へ。出だしからハードロックなハイトーンヴォイスで激しく歌出だしてちょっと笑ってしまった。ジャック・ブラックよろしく完全にロックの先生キャラになっていた。山本達久の正確かつテンションの高いドラムが素晴らしい。

昨年の芸害の頃からレパートリーとなっている新曲(ロイ・ハーパーとプレゼンス信者が生み出した素晴らしいリフのロックインストゥルメンタル)を披露。変拍子の上でソロを弾きまくるジム・オルーク!

 「Life Gose Off」まで披露!この楽曲も最近のライブでは披露していなかったがメンバーのリクエストで演奏。後半のノイズパートも完全再現。そのままヴェルヴェッツ風のリフが奏でられて新曲かと思いきやなんと「Movie On The Way Down」!ペダルも入りシャウト気味の熱のこもったジムの歌唱もあり完全に70年代のアメリカンロックになっちゃってました笑

その流れであのフィンガーピッキングのフレーズが奏でられ「Prelude to 110 or 220,Women Of The World」へ!!!バンドが入った瞬間の高揚感たるや!そのまま歌に入らないで呻くように「Women of the world」と歌うジム。やがてどんどんと音量が上がっていきディストーションギターに激しくシャウトするジム、客席から雄叫びが!原曲の雰囲気は消え去り完全なアメリカンロックナンバーに変貌。会場も大盛り上がり。

アンコールでは「The Workplace」を披露。こちらはデラファンタジア以来なのかな?
静かな展開から後半はやはり激しく歌いギターを弾き倒すジム。素晴らしい演奏だった。

技術の高い演奏陣に加えてゲストの高田漣のペダルスティールが楽曲をさらに豊かにしていて本当に良いライブだった。また、今までのライブで披露してなかった楽曲を生で観ることができて90年代子供だった身としてはひたすら感動だった。ルース・ファーやオルークの歌ものソロなど今後の活動も非常に楽しみになってくる。

Eurekaはやっぱりやらなかった(ちょっとだけ期待していたけど)。死ぬまでに一度は観てみたいもんです。やっぱり。観るなら今回の6Days参加メンバー大集合で演奏してほしいなぁ。
つい最近、大友良英がライブで久しぶりにカバーしたという噂がありジム・オルーク6daysに触発されたのかな?

2009年の難波ベアーズでのソロライブの時の「Eureka」後半の部分だけでも涙出てくる


今回の6daysのMVPは連日連夜全力で叩きっぱなしだった山本達久さんだろうなぁ。本当に変幻自在で凄かった!


ジムO 六デイズ@六本木スーパーデラックス (2013/6/17 ~22)Day 5

Day 5【未来に向けて その1】

1st set

Jazz Trio
ジム・オルーク(ギター)
千葉広樹(ウッドベース、エレクトロニクス)
山本達久(ドラム,ジャンクパーカッション)

ザッパのアンクル・ミートで登場(笑)

一曲目はGatewayの「Back-Woods Song」をカバー。
ここまで熱いソロを弾きまくるジム・オルークの姿を拝めるとは。
演奏後、会場を温めるためカバーしたと言っていた。
なんでもジム・オルークのお気に入りの曲とのこと。
,
トリオのオリジナル曲
*1ウッドベースにミニムーグ?らしい機材がつないであり弾くたび柔らかい電子音が散らばる。そこからクリーントーンのギターによるメランコリックな美しい主題(トータスやSea&Cakeの楽曲を少し彷彿とさせるメロディー)が奏でられバンドの演奏が始まる。完全にジャズ系のフレーズを弾き徐々に歪みが加えられ激しくなる。時にロックやハードコア的なフレーズを叩きつける山本達久のドラムも素晴らしい。

*2ギターを重ねて生み出された美しいドローンとゆったりと寄り添うようなドラム、その上にギターソロが絡む。やがて激しい轟音へと。そして、弾きまくるジム・オルーク。

他にポストロック、ジャズロック寄りの楽曲を1曲披露。

こういったマーク・リーボウ等のアヴァンジャズな演奏を聴くことができるとは思わなかった。予想以上に素晴らしかったのでこのトリオでの音源化が待ち遠しい。

2nd set


カフカ鼾 

ジム・オルーク(ギター、モジュラーシンセ)石橋英子(キーボード)、山本達久(ドラム)

ギターとモジュラーシンセによって生み出されたドローンと石橋英子のミニマルなピアノ、そしてジャーマンプログなフレーズを叩く山本達久。Ash Ra Tempelを彷彿とさせるヘヴィー・サイケな演奏。ラストにかけて激しくなるドラムとギターの轟音が凄まじかった。






2013年6月27日木曜日

ジムO 六デイズ@六本木スーパーデラックス (2013/6/17 ~22)Day 4

Day 4【Big Band & Tapes】 

ジム・オルーク(laptop)  坂田明(クラリネット)  梅津和時(サックス)  類家心平(トランペット)  高岡大祐(チューバ)  高橋保行(トロンボーン)  勝井祐二(エレクトリック・バイオリン)  トッド・ニコルソン(ウッドベース)  山本達久(ドラム)


ジム・オルークが客席側の真ん中でラップトップに鎮座し、扇形にメンバーが囲むような形で演奏。ジムのPCから流すピアノのインプロや電子音楽、ドローンなどをトリガーに演奏者たちがそれぞれ反応する。


1st set
*1
ジムがラップトップから流すピアノの抽象的な即興に対して各人が絡んでいく。ジムの音に反応して持続音を吹く管楽器、やがて山本達久のドラムが激しくなり混沌へ。
*2
何かの儀式のような女性の声に深いリバーヴがかかるアンビエントな音源に対して管が静かに絡んでいく。徐々に激しい応酬となる。ドラムが入りさらに激しい混沌状態となる。特に坂田明と梅津和時によるソロの応酬が素晴らしくスリリング。途中、勝井祐二によるディレイがかったエレクトリック・バイオリンも絡みプログレ・ニューエイジ感がでてくる。

2nd set
一発目が完全なフリージャズで時にユーモラスに反応する坂田明と梅津和時の丁々発止が物凄かった。それぞれが特殊奏法を行う箇所があり、高橋保行によるスネアをトロンボーンに被せて吹く技に驚いた。また高岡大祐によるヘリコプターやグリッチ音のような音をチューバから出していてまたまた驚いた。そして演奏が混沌のさらに上をいく混沌状態になった瞬間が鳥肌ものだった。

2発目はジムのラップトップから落ち着いたアンビエントよりの音楽を流しそこにやはり即興的に絡んでいく。

2013年6月26日水曜日

ジムO 六デイズ@六本木スーパーデラックス (2013/6/17 ~22)Day 3

Day 3【Happy Bad Timing Days】 

1st set Bad Timing

ジム・オルーク、石橋英子 (p)、須藤俊明 (b)、山本達久 (ds)

「Bad Timing 」収録曲をジム・オルークバンドのメンバーと共に演奏。冒頭の「There's Hell In Hello But More In Goodbye」ではジム・オルーク一人でアコギのインプロ(ギターでドローンを作りそのうえでJohn Fahey風即興)を演奏した後、あのイントロへ徐々にメンバーが集まりバンドの演奏へ移る。山本達久がグレン・コッチェも使っているドラムセット脇に設置した残響音の持続する特殊な鉄琴を鳴らす。ライブでも定番となりつつあるディストーションギターによる激しい展開となる。「Bad Timing」はほぼジム・オルークのギターソロに近い形。後半に山本達久による鉄琴、須藤俊明によるアコーディオン、石橋英子によるオルガン風の音色のキーボードが絡んでいきやがて激しい混沌へと。「94 The Long Way」はバンド編成もあり、後半エレキに持ち替えて熱いギターソロを弾きたおすロックな展開となって格好良かった。そしてそのままの流れでなんとGaster Del SolでもカバーしていたJohn Faheyの「Dry Bones In The Valley」を演奏!こちらも後半バンドが入り三連のリズムの上で熱くギターソロを弾く展開となった。これは鳥肌ものだった。

再現難しそうだけど「Happy Trails」はやっぱり聴いてみたかったなぁ。

2nd set Happy Days

ジム・オルーク (Gt)

ジム・オルークのギターソロから音源通り徐々にハーディ・ガーディのドローンが被さっていき次第に大音量になっていく。

ハーディ・ガーディの音源自体はジムの傍らに置いていたポータブルレコーダーから出していた。ジムは地響きのようなハーディ・ガーディの爆音の中、目を瞑りときに口を動かし何かを呟きながら体を揺らして解放弦の二音をひたすら鳴らし続けていたのが印象的だった。やがてハーディ・ガーディの音が静まり、弾き続けていた解放弦の二音が聴き取れるようになった瞬間に弦が切れるハプニングが生じたが即座に別の弦を用いて演奏を行っていたところはさすがだった。およそ50分ほどの演奏時間だったように思う。この作品こそでかいアンプでハーディ・ガーディの爆音に身を包まれて意識を沈み込ませて聴いてこそ初めて意味があると感じた。 

完全にオタクな風貌の若き日のジム

Gastr del Sol - Dry Bones in the Valley (1995/09/23)


  

2013年6月25日火曜日

ジムO 六デイズ@六本木スーパーデラックス (2013/6/17 ~22)Day 1,Day2

Day 1【カセットテープ時代】


ジム・オルークソロ


・1st set (80年代テーブルトップギター)
テーブルトップギターによる演奏。Fader誌で発言してたけど彼はルームメイトであるケヴィン・ドラムの演奏を観てそのスタイルから足を洗ったそう。リモコンをピックアップに近づけてパルス音を拾ってサンプリングしたり、ギターの弦を長いバネを用いて繊細に擦ったり、ドライバーの持ち手をくるくる回しながら弦にあてたり、バイオリンの弓で弾いたり、取り付けてあった輪ゴムの伸縮する音を拾ったり、観ているだけで面白い。しかもそれらの音を幾重にも折り重ねて混沌としたノイズから突如美しいドローンを即興的に生み出していく。ジムの発する音にひたすら浸った。

・2nd set (エレクトロニクス)


真っ暗な会場の中、キャンピングテントと中で演奏するジムの影だけが浮かび上がる。おそらくテープコラージュ作品を基に演奏。水の音や足音、フィールドレコーディングの音などの具体音を織り交ぜたノイズの塊からやがて美しい音色へと移り変わる瞬間がたまらなかった。演奏が終わるまでジムはずっとテントの中にいた。

Day 2【大学時代の作曲】

弦楽四重奏&発振器

メンバー:ジム・オルーク、波多野敦子 (バイオリン)、千葉広樹 (バイオリン)、手島絵里子(ヴィオラ)、関口将史(チェロ)
エスター叔母
メンバー:ジム・オルーク、石橋英子、U-zhaan、山本達久、アンドモア
水のない海
メンバー:ジム・オルーク、U-zhaan、山本達久、アンドモア

1st set みずのないうみ

2005年に再発された80年代後半~90年代初頭に作られたドローン作品「みずのないうみ」を演奏。ジムはPA卓に設置したデスクトップに向かっていたためマスター音源?をそのまま流していたように思われる。ステージ後方の壁に美しい夕暮れ時の空港に着陸しようとする飛行機のループ映像が映し出される。この映像は時間経過とともに淡く緑がかったり暗くなったりと色彩がゆるやかに移り変わる。演奏中はメンバー達が会場中を歩き回って鐘や笛、ギロなどをランダムに鳴らしていた。

2nd set エスター叔母

会場の後方からプロジェクターでオルークがグラフィックスコアを操作。壁に映し出された五線譜と変化するスコア(ドット絵を三角に隠したりずらしたり拡大縮小をしたり)をメンバーが読み取り演奏。時間経過とともにジムさんがプロジェクターをステージまで前進させ、最後にスコアが黒人の顔(エスター叔母?)だとわかる。ユザーン(タブラ)、石橋英子(キーボード)、波多野敦子(バイオリン)は客席の中間の両端あたりで演奏。山本達久(ドラム)と須藤俊明(パーカションetc)が前方で演奏。演奏後、17歳?の時の作品だからゆるしてください的なことをジムさんが言っていた笑

3rd set 弦楽四重奏&発振器

Tony Conradを思わせるドローン作品。第一楽章?と第二楽章があり一時間ほどだった。発振器ではなくPCから発せられる電子音と弦楽四重奏によるドローン。ジム・オルークはPCを見てタイミングを図り、手のカウントをメンバーが認識したところで振りおろしそれぞれの音を変化させていた。第二楽章後半、ジムが手で激しく煽り演奏も熱を帯びて最大限の音量となった瞬間が物凄く気持ちよかった。間の休憩ではジムがメンバーに水を飲むよう促し自らがコップを持ってメンバーたちに回し飲みさせて労わる一幕も。しかし、演奏者は大変そうだったなぁ。

1日目2日目とDJ山本達久の選曲が神がかっていた。アルベール・マルクール、はちみつぱい、ジュディ―・シル、ポールにZeppとジムさんトリビュートのような感じで楽しい。










2013年3月25日月曜日

Jim O'rourke カバーワークス その6

2003年に反戦、アンチブッシュのキャンペーンに賛同するミュージシャンの楽曲がフリーダウンロードできるサイトの中で発表されたのがBill Fayのカバー「Pictures of Adolf Again」です。
bill fayは70年代に活動していたフォークシンガーでごく最近、wilcoのjeff twedyによる再評価もあり新アルバムを41年ぶりに発表しています。
ジム・オルークが全幅の信頼を寄せているglenn kotcheをドラムにその他の楽器はおそらく全て自分で演奏して完成させています。原曲の素朴なアレンジとは打って変わってジムお得意のかなり熱い70年代アメリカンロック風ナンバーに仕上げています。

Jim O’Rourke & Glenn Kotche - ”Pictures of Adolf Again” 
http://www.dailymotion.com/video/x4m4cd_jim-o-rourke-pictures-of-adolf-agai_music#.UVBcwhwj3oI

また、若松孝二監督作「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」のクライマックスシーンに合わせた尺での別バージョン(ギターソロが長尺となっている)が使われています。また、同映画のサウンドトラックには一番初めに発表した時のアレンジに近い別バージョンが収録されています。
映画製作のためSteamroomの機材を全て売り払って日本へ居を移したジムさん。愛好する若松監督作品の音楽に携わりたい一心で日本語を習得し、第一案を渡すも却下され自宅の押し入れで演奏、録音してなんとか完成させたそうです。


2013年3月19日火曜日

Jim O'rourke カバーワークス その5

2000年発売日本独自企画のVelvet Undergroundカバー集「Rabid Chords 002: VU Tribute」。
海外勢は音響派とelephant6関係、The Olivia Tremor Control, Of Montreal , The Ladybug Transistor , The Music Tapes, Jim O'Rourke, John McEntire。
日本勢はズボンズ,ナカコー,COIL,シーガル・スクリーミング・キス・ハー・キス・ハーなど。
Jim O'rourkeは「Venus in Furs」をカバー。演奏参加メンバーはTim Barnes, Glenn Kotche, Julie Pomerleau。「Eureka」録音時に関わっている方たちです。ジム・オルークらしいギターによる重厚なドローン、サビで挟み込まれるビブラフォンによるフレーズが美しい。おそらくsteamroomでの録音なのでしょう。


2013年3月17日日曜日

Jim O'rourke カバーワークス その4

2007年発売「Guilt by Association」。大ヒットしたメジャーなポップソングをインディーのミュージシャン達がカバー。参加アーティストはSuperchunke,Mike Watt,Bonnie'Prince'Billyなど



このアルバムでジムさんはSpice Girlsの「Viva Forever」をNeil Young&Crazy Horse風にカバーしています。なんでもカラオケの十八番だったらしいです。これが彼の「Bad Timing」発表後に構想していた全曲カバー(有名だったり良い曲だけど酷いアレンジのポップソングを換骨奪胎する計画だったらしい)のアルバム「Novelty Act」に収録予定だった曲なのかどうか知りたいところです。
この幻のアルバムにはBruce Hornsby「That's just the way it is」やEaglesの「Lyin' Eyes」を収録する事は決まっていたみたいです。
この時期、ライブでもカバーを頻繁に行っていたようで来日時にはTracy Chapman「Fast Car」やKevin Ayers「May I」、Thunderclap Newman「Something In The Air」を披露していたようです。




そのほか面白いところではOASISの「Don't Look Back in Anger」をDevendra Banhartが彼の尊敬するCeatano Veloso風にカバーしています。


2013年3月16日土曜日

Jim O'rourke カバーワークス その3

99年発売の「DRIVE from 2000」というハルメンズ、パール兄弟のサエキけんぞうプロデュ―スのテクノポップ寄りのコンピにスパークスのカバーを提供しています。
こちらのブログで聴くことができます。かなりハイテンション!
たぶん普段のカラオケはこんなノリなんだろな(笑)

Sparksの「Propaganda」は音楽史上最高の部類に入る作品とジムさんは発言しています。
実際にLoose Furのセカンドアルバムではスパークス風の楽曲が披露されたりもしています。

Sparks - Thanks But No Thanks







2013年3月15日金曜日

Jim O'rourke カバーワークス その2

Jim O'rourkeがカバーした楽曲をここに記載。

・「楢山節考」寺内タケシとブルージーンズ



2002年発売「昭和レジデンス 赤盤」の二曲目、クレイジーケンバンドに挟まれてジム・オルークによる「楢山節考」のカバーが収録されてます。このアルバム自体は幻の名盤解放同盟による企画で97年頃クレイジー・ケンバンドによるカバー曲を録音したままお蔵入りになっていたものに新録を加えて(何故かエンケンのニール・ヤング「ヘルプレス」カバーも収録)の発表となったようでライナーには廃盤墓場での”供養”と書いてある笑

ライナーにジムさんのショートインタビューが載ってるけど何故この曲を選んだのかは答えてなくて今村昌平の映画からなのか?それとも湯浅学さんが紹介したのか?謎である。

寺内タケシとブルージーンズのバージョンを元に手打ちのリズムにフニャフニャのシンセとギターが乗っかり突然壮大なラストを迎える。ゲゲゲの鬼太郎とか日本昔話のバックで流れそうな脱力カバー。これをSonic Youthのレコーディング中に夜中ひっそりスタジオでメンバーから借りた楽器でしこしこ作っていたらしく、その状況がなんとも切なく可笑しいです。
このカバーを聴くまでは山本精一さんが依然紹介していた深沢七郎による弾き語りのバージョン(*1)を参考にしてBad Timingのような雰囲気でカバーしているのかと思って凄く期待してました。いざ購入して聴いてみるとこれが正反対に振り切れていてさすが一筋縄ではいかない人だな(笑)と衝撃を受けた。

(*1)深沢七郎「ギター独奏集 祖母の昔語り」に「楢山節」を収録。今の耳で聴くとTakomaレーベルから出ている作品のようで緊張感ある雰囲気がとても良いです。







2013年3月12日火曜日

Jim O'rourke カバーワークス その1

ジムさんはいろいろな曲をカバーしていて名盤「eureka」では英国のハーモ二ウム弾き語りおじさんivor cutlerの楽曲「women of the world」を換骨奪胎して自分のものとしています。
また、正反対にバート・バカラックの「Something Big」は原曲のアレンジや録音をほぼ完コピしています笑
他にも様々なカバーがあるのでここに記載。

自分が初めてジムさんの音楽に触れたのは、2002年に発表されたはっぴいえんどの二枚組カバー集「Happyend Parade」です。ここでジムさんはオリジナル・ラヴとともにはっぴいえんどの「抱きしめたい」をカバーしています。田島貴男が大瀧 詠一そっくりに歌っているのが面白い。またブックレットでジムさんがリスナーとしてコチンムーンで細野さんを発見し、トロピカル三部作~ホソノハウス、最後にはっぴいえんどへと辿りついた事をまるでおとぎ話のようなストーリー仕立てで書いていて洒落てます。演奏はジムさんの他にドラムにTim Barnesが参加している。原曲に寄り添いつつもヴェルヴェッツのようなサイケ風味も加味したアレンジが素晴らしい。後半ビブラフォンとシェイカーでミニマルな展開にするのはお家芸といった感じか。ジムさんの自宅スタジオsteamroomでの録音がまた良い音。

細野さんとの関係で2007年に発表されたトリビュートアルバムではカヒミ・カリイをボーカルに「風来坊」のカバーを披露しています。ここではボサノバ的な演奏の上に細野さんに多大なる影響を与えた事を理解した上でVan Dyke Parksへのオマージュとしてスティール・パンと複雑かつ美しい弦が配されています。
スタジオ版では、後半やはりミニマルな展開となりシェイカーのリズムとスティール・パンがその上を転がっていき格好いいです。

蝉の鳴き声が良いなぁ。この時のライブに行けなかった事が悔やまれる。


また、カヒミ・カリイのアルバム「NUNKI」に演奏および楽曲提供(「He Shoots The Sun」「Night train」「Mirage」いずれも名曲!)で参加した関係で行われたライブでは「風来坊」の他にバカラックの「This Girl's In Love With You」を披露しています。これはカヒミ・カリイのカバーと呼んだ方がいいのかも。また、次のアルバム「It's Here」ではバカラックを思わせる静謐な名曲「I Come Here」をカヒミに提供しています。


また2010年に発表されたジム・オルークによるバート・バカラックのトリビュートアルバム『All Kinds of People ~love Burt Bacharach~ produced by Jim O'Rourke』では全アレンジと演奏に関わっていますが本人歌唱による「Trains And Boats And Planes」を披露しています。原曲にあるコテコテなサビを即興演奏的なピアノのフレーズに置き換えて現代的に仕上げています。ここでのテクニカルなドラムはglen kotcheによるものです。こういったドラムのフレーズはポストロック的に聴こえがちなのですがよくよく聴くとバカラックの「Monterey Peninsula」や「Reflections」等にみられる複雑なドラムフレーズが念頭にあるように思われます。
ビルボードでのトリビュートアルバムの発売記念コンサートではglen kotcheとゲストの坂田明とジムによって演奏がフリージャズ化して細野さんがドン引きしてその様子を見ていた(特にglen kotcheがハードコアに叩きまくっていた!)のを思い出します笑
この日のライヴではアルバムで小坂忠が歌っていた「Don't Make Me Over」をジムさんが熱くシャウトして歌っていました。







Jim O'rourke - Fall Breaks And Back To Winter (Spring Breaks And Back To Winter)

98年に日本独自で企画されたビーチ・ボーイズカバー集「Smiling Pets」。

参加面子が豪華でメルト・バナナやイトケン率いるHarpy、海外勢はやはり音響派の時代だったんだなぁという感じでジョン・マッケンタイアやデイヴィッド・グラプス、お馴染みサーストン・ムーア!他にはオリヴィア・トレマー・コントロールやアドヴェンチャーズ・イン・ステレオなどなど。

そんな中やっぱり気になるのはジム・オルークによるカバーでしょう。楽曲はsmily smile収録の「 Fall Breaks And Back To Winter (Spring Breaks And Back To Winter)」でSMiLEでは「Mrs. O'Leary's Cow」にその断片が利用されている楽曲ですがジムさんは全く別物の曲をカバーとして提供しています笑

ジムさんはビーチ・ボーイズのある楽曲の一部をループにしたミニマル・ミュージックを構想していると発言していましたが今のところ実現していません。提供された曲はBeach BoysのSmileとVan Dyke ParksのSong Cycleを掛け合わせたような雰囲気を持つ美しい作品となっていてこの時期のジムさんの充実ぶりがわかります。
エレピの音色やコーラスは武満徹の映画音楽やロバート・ワイアットのような雰囲気もあります。
ここで共演しているedith frostはシカゴを拠点に活動する女性SSWでジムさんのバカラックカバー「Something Big」のサビで聴くことができる印象的な女性コーラスの内の一人だったようです。



Fall Breaks And Back To Winter (Spring Breaks And Back To Winter) - Jim O'Rourke & Edith Frost






ブライアン・ウィルソンの朋友ゲイリー・アッシャーによるインストゥルメンタル作品から冒頭で演奏されているのが元の曲です。全く違いますね(笑)

Gary Usher - fall breaks and back to winter / good vibrations / heroes & villains


2013年3月10日日曜日

Jim O'rourke - Love Liza

名盤「Eureka」は完成までに5回作り直しており、「Insignificance」は制作時にそれまで録りだめていたデモを全て捨て去り作り直したとジム・オルークは発言しています。

海外のファンによるJIM O’ROURKE: FILMOGRAPHY(& DISCOGRAPHY)(http://tisue.net/orourke/)で2002年に公開された映画「Love Liza」のサントラ仕事が気になりました。

「Love Liza」はフィリップ・シーモア・ホフマン主演で日本未公開の映画(The Master公開記念でTSUTAYAあたりでレンタルできるようにしてほしい)。海外で観た方のblogによると妻に自殺された男がどんどんと堕ちていく話(しかもホフマン演じる主人公の役名がウィルソン)のよう。
フィリップ・シーモア・ホフマン、ブライアン・ウィルソンを彷彿とさせる役柄と役名、そしてその音楽をジム・オルークが担当しているのがおもしろい(見かけもなんとなく似てる)。

この劇中で使用される楽曲群がまるでうたもの時代を総括するかのような内容で驚きました。
上記うたもの三枚からの楽曲も使用されているのですが特に気になるのは「Eureka」のアウトテイクといってもいいような質の高いアルバム未収録の楽曲が劇中で使われている事です。

アンビエント的なペダルスティール、アコースティックギターのミニマルなフレーズ、弦、ビブラフォンが美しく絡む

"This is kickass!"


バカラックを彷彿とさせる爽やかな楽曲

"Time Off"




「カッコーの巣の上で」を思わせる
ペダルスティールと弦が美しいフレーズを奏でる軽快な楽曲

"Slidel"





サウンドトラックは未発売のため海外のファンが勝手に作成したサウンドトラックが出回っているのですが素晴らしい内容です。ここに挙げた楽曲の他にも4曲ほど劇中でアルバム未収録の楽曲が使用されています(いずれも美しいアメリカーナな楽曲)。

ジム・オルークが影響を公言しているburt bacharach「living together」やjack nitzsche「カッコーの巣の上で」のイメージが濃いがゆえにアルバムから外されたのかも知れない(アウトテイクだとするなら)質の高い楽曲達です。