2015年10月29日木曜日

Jim O'rourke 「two sides to every story-DAY2- 」10.25.Sun LIVE@草月ホール

草月ホールにて行われたジム・オルークの単独ライブ2デイズ「two sides to every story」2日目。二日間SEとして流れていたドローンをShazam で調べてみると普通に出てきてビックリした(笑)「Charlemagne Palestine の Jamaica Heinekens In Brooklyn という曲を発見しました。: https://t.co/7yDfoWGq90」

1set   Bad Timing 全曲 LIVE

ジム・オルーク、石橋英子 (p)、須藤俊明 (b)、波多野敦子(ヴァイオリン)、山本達久 (ds,グロッケン)、高田漣(ペダルスティール)

01.There's Hell In Hello But More In Goodbye

02.94 The Long Way(Darin Grayがコントラバスで参加)
03.Bad Timing
04.Happy Trails

冒頭、ジムがJohn Fahey的な即興演奏を行い(イントロのフレーズをさらにメランコリックしたもの)そこから徐々にメンバーが演奏に入っていく。前回まで山本達久が鉄琴を叩いていたフレーズを石橋英子がピアノで代替。後半の盛り上がりは素晴らしく、ドラムの山本達久の方を向いてギターを弾くジムのフレーズに合わせて全員が音をぶつける展開は相変わらず格好良く、そして毎回その場で即興的に行われるので緊張感とともに爆発する演奏にいきなり痺れた。観客も演奏が終わるなりクライマックスのようなテンションで歓声と拍手!


「94 The Long Way」ではゲストにBad Timingのレコーディングでもベースで参加していたDarin Grayが呼ばれコントラバスを弓弾きして演奏に加わる。ここでは高田漣のペダルスティールが大活躍。アメリカーナがコンセプトのこのアルバムではペダルスティールがとても重要な役割を占めていたのでこの柔らかい音色が演奏に加わるだけで深みが増していた。

「Bad Timing」では後半のグロッケンのフレーズを山本達久が叩く。ここでも高田漣による音響的なスティールの音が素晴らしく後半のノイジーな展開は以前、彼が参加していた細野晴臣のバンドTokyo ShynessでのStellaの演奏を思い出させた。

スティールによるノイズが最大限になった瞬間にジムさんのギターからあの轟音が!6daysでは割愛されていた「Happy Trails」が拝める日がついにくるとは!イントロの轟音が鳴った瞬間は鳥肌ものだった。

そこから音源通りジムが一人ギターを爪弾く。そして後半のマーチングバンド的な盛り上がりの展開にバンドが一丸となって入っていく瞬間はヤバかった。管楽器のフレーズを波多野敦子のヴァイオリンが代替して、ペダルスティールの上昇下降フレーズを石橋英子のキーボードが担っていた。跳ねるリズムの中を高田漣のスティールが駆け抜けていき躍動感溢れる最高の演奏に!アウトロのメランコリックな展開では石橋英子がフルートに持ち替えて(多才な方!)音源でのトロンボーンのフレーズを代替。そのフルートのフレーズとヴァイオリンが重なりこれ以上ない素晴らしいエンディングに会場は拍手喝采。

2nd set  Jazz Trio and Big Band


前方中央に坂田明とちかもらち(Darin Gray(bass),Chris Corsano(drums))、舞台下手にGiovanni di Domenico(piano)、後方にブラス隊、客席を背にブラス隊に向かい合うようにしてジム・オルークが指揮(手やカードによる合図)


坂田明がアルトサックスを吹き始めると同時にちかもらちによるハードな演奏が展開される。その演奏に合わせるようにジムがタイミングやカード、手のカウントによって決められたあるルールにのっとった指揮をする。ジムの指揮に合わせて(ジョン・ゾーンのコブラ的な)ブラス隊が演奏に加わる。坂田明とちかもらちがグイグイとハードなインプロで引っ張っていきその演奏に反応してジムが煽るように指揮してブラス隊が音を加える(ジムがランダムに演奏者を指定し、同時にソロをとらせる場面も)。ジムの合図でブラス隊が同じタイミングで音の塊を鳴らす中、坂田明とちかもらちの演奏もいっそう激しくなる。暴力的な音が静まり一応の第一セットが終わった瞬間に客席から激しい歓声と拍手が起こる中、間髪入れずハードな演奏が再開するも鳴りやまない拍手に会場全体が異常な躁状態に。

Darin Grayは弓をバットのようにしてコントラバスに叩きつけたりホースを中に入れて音を出したり様々なパターンで演奏。Chris Corsanoも嵐のような延々途切れる事の無い打撃音の塊を出し続ける。
坂田明はクラリネットに持ち替えて第二セットへ。激しい演奏で始まるが次第に静かになり坂田明のソロとブラス隊によるドローンが鳴らされる。ユーモラスなフレーズを一人の演奏者が鳴らし、そのフレーズを各ブラス隊がなぞる展開はコブラっぽいけどコブラと異なるのは坂田明とちかもらちは基本的にジムの指揮がみえない位置にいるので自由に即興をし続ける(ドラムのchrisは終わりを見極めるために時折後ろを振り返って指揮をみていた)。
そして、最終的に坂田明が吠えだしてからが本当にヤバい展開となりそれまでの前方の坂田明とちかもらちVS後方のジムとブラス隊だったのが完全に坂田明の叫びに対して全演奏者が渾然一体となって暴力的な音を鳴らしていきそれまでも相当な音量のノイズであったがさらにデカい音の塊になりヤバかった。
演奏が終わったあとは観てる方も痺れっぱなし放心状態。

今回のライブのトリで坂田明とちかもらちの演奏を全面にフィーチャーしたのもジムが日本に初めて来て右も左も分からない状態の時にサポートしたのが坂田明だったことを思えば恩返しのような事だったのかもしれない。そして今回の2days自体、ジムさんが日本に住み始めてからの活動の集大成的なものでもあったのだろうなと感じた。その中ではジムさんに歌ものバンドに再び向き合わせることになったメンバーとの出会いや尊敬する映画監督との出会いと別れ、そしてアメリカ時代の仲間との再会など様々なものが含まれていた。


この二日間の音楽性の広い振れ幅と、そのいずれもが深く感情を揺さぶられる高いクオリティーでなおかつ日本語MCでみせるユーモラスなキャラクター(グッズ化されても違和感ない)も含めてこんな人世界中どこ探しても一人しかいないと実感するしかなかった。












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