2003年に反戦、アンチブッシュのキャンペーンに賛同するミュージシャンの楽曲がフリーダウンロードできるサイトの中で発表されたのがBill Fayのカバー「Pictures of Adolf Again」です。
bill fayは70年代に活動していたフォークシンガーでごく最近、wilcoのjeff twedyによる再評価もあり新アルバムを41年ぶりに発表しています。
ジム・オルークが全幅の信頼を寄せているglenn kotcheをドラムにその他の楽器はおそらく全て自分で演奏して完成させています。原曲の素朴なアレンジとは打って変わってジムお得意のかなり熱い70年代アメリカンロック風ナンバーに仕上げています。
2000年発売日本独自企画のVelvet Undergroundカバー集「Rabid Chords 002: VU Tribute」。
海外勢は音響派とelephant6関係、The Olivia Tremor Control, Of Montreal , The Ladybug Transistor , The Music Tapes, Jim O'Rourke, John McEntire。
日本勢はズボンズ,ナカコー,COIL,シーガル・スクリーミング・キス・ハー・キス・ハーなど。
Jim O'rourkeは「Venus in Furs」をカバー。演奏参加メンバーはTim Barnes, Glenn Kotche, Julie Pomerleau。「Eureka」録音時に関わっている方たちです。ジム・オルークらしいギターによる重厚なドローン、サビで挟み込まれるビブラフォンによるフレーズが美しい。おそらくsteamroomでの録音なのでしょう。
2007年発売「Guilt by Association」。大ヒットしたメジャーなポップソングをインディーのミュージシャン達がカバー。参加アーティストはSuperchunke,Mike Watt,Bonnie'Prince'Billyなど
このアルバムでジムさんはSpice Girlsの「Viva Forever」をNeil Young&Crazy Horse風にカバーしています。なんでもカラオケの十八番だったらしいです。これが彼の「Bad Timing」発表後に構想していた全曲カバー(有名だったり良い曲だけど酷いアレンジのポップソングを換骨奪胎する計画だったらしい)のアルバム「Novelty Act」に収録予定だった曲なのかどうか知りたいところです。
この幻のアルバムにはBruce Hornsby「That's just the way it is」やEaglesの「Lyin' Eyes」を収録する事は決まっていたみたいです。
この時期、ライブでもカバーを頻繁に行っていたようで来日時にはTracy Chapman「Fast Car」やKevin Ayers「May I」、Thunderclap Newman「Something In The Air」を披露していたようです。
そのほか面白いところではOASISの「Don't Look Back in Anger」をDevendra Banhartが彼の尊敬するCeatano Veloso風にカバーしています。
ジムさんはいろいろな曲をカバーしていて名盤「eureka」では英国のハーモ二ウム弾き語りおじさんivor cutlerの楽曲「women of the world」を換骨奪胎して自分のものとしています。
また、正反対にバート・バカラックの「Something Big」は原曲のアレンジや録音をほぼ完コピしています笑
他にも様々なカバーがあるのでここに記載。
また、カヒミ・カリイのアルバム「NUNKI」に演奏および楽曲提供(「He Shoots The Sun」「Night train」「Mirage」いずれも名曲!)で参加した関係で行われたライブでは「風来坊」の他にバカラックの「This Girl's In Love With You」を披露しています。これはカヒミ・カリイのカバーと呼んだ方がいいのかも。また、次のアルバム「It's Here」ではバカラックを思わせる静謐な名曲「I Come Here」をカヒミに提供しています。
また2010年に発表されたジム・オルークによるバート・バカラックのトリビュートアルバム『All Kinds of People ~love Burt Bacharach~ produced by Jim O'Rourke』では全アレンジと演奏に関わっていますが本人歌唱による「Trains And Boats And Planes」を披露しています。原曲にあるコテコテなサビを即興演奏的なピアノのフレーズに置き換えて現代的に仕上げています。ここでのテクニカルなドラムはglen kotcheによるものです。こういったドラムのフレーズはポストロック的に聴こえがちなのですがよくよく聴くとバカラックの「Monterey Peninsula」や「Reflections」等にみられる複雑なドラムフレーズが念頭にあるように思われます。
ビルボードでのトリビュートアルバムの発売記念コンサートではglen kotcheとゲストの坂田明とジムによって演奏がフリージャズ化して細野さんがドン引きしてその様子を見ていた(特にglen kotcheがハードコアに叩きまくっていた!)のを思い出します笑
この日のライヴではアルバムで小坂忠が歌っていた「Don't Make Me Over」をジムさんが熱くシャウトして歌っていました。
そんな中やっぱり気になるのはジム・オルークによるカバーでしょう。楽曲はsmily smile収録の「 Fall Breaks And Back To Winter (Spring Breaks And Back To Winter)」でSMiLEでは「Mrs. O'Leary's Cow」にその断片が利用されている楽曲ですがジムさんは全く別物の曲をカバーとして提供しています笑 ジムさんはビーチ・ボーイズのある楽曲の一部をループにしたミニマル・ミュージックを構想していると発言していましたが今のところ実現していません。提供された曲はBeach BoysのSmileとVan Dyke ParksのSong Cycleを掛け合わせたような雰囲気を持つ美しい作品となっていてこの時期のジムさんの充実ぶりがわかります。 エレピの音色やコーラスは武満徹の映画音楽やロバート・ワイアットのような雰囲気もあります。
ここで共演しているedith frostはシカゴを拠点に活動する女性SSWでジムさんのバカラックカバー「Something Big」のサビで聴くことができる印象的な女性コーラスの内の一人だったようです。
Fall Breaks And Back To Winter (Spring Breaks And Back To Winter) - Jim O'Rourke & Edith Frost